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1日に必要なたんぱく質量は?
2023.10.03 レシピ

1日に必要なたんぱく質量は?

たんぱく質は体をつくる材料であり、体の機能を維持するために必要な栄養素です。前回、良質なたんぱく質が健康な体づくりに繋がるということをお伝えしました。たんぱく質は、摂取量が多過ぎても、少な過ぎても、上手に体で機能しません。今回は、たんぱく質の1日の摂取目安量をお伝えします。

1日あたりのたんぱく質の推奨量

 たんぱく質の必要量は、性別、年齢、妊婦、授乳婦などによって違います。公認スポーツ栄養士の場合は、アスリートの身体組成から個々に合ったエネルギーやたんぱく質の量などを算出し、運動量ほかの環境に応じた食事内容などを指導しています。しかし、専門知識のない人の場合は、身体組成を測定して、自身に合ったエネルギーやたんぱく質量を算出するわけにはいきません。そこで、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を見れば、だれでも推奨量を確認することができるようになっています。

1日のたんぱく質推奨量(g/日)

年齢男性女性
1〜2歳2020
3〜5歳2525
6〜7歳3030
8〜9歳4040
10〜11歳4550
12〜14歳6055
15〜17歳6555
18〜29歳6550
30〜49歳6550
50〜64歳6550
65〜74歳6050
75歳以上6050
妊婦(付加量)初期+0
中期+5
後期+25
授乳婦(付加量)+20
日本人の食事摂取基準(2020年版)

*65歳以上の高齢者について、フレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが、身長・体重が参照体位に比べて小さい者や、特に75歳以上であって加齢に伴い身体活動量が大きく低下した者など、必要エネルギー摂取量が低い者では、下限が推奨量を下回る場合があり得る。この場合でも、下限は推奨量以上とすることが望ましい。

たんぱく質の推奨量は18〜64歳では、男性65g、女性50gです。妊婦・授乳婦は母親の健康や子どもの成長のため付加量があり、成長期の子どもに関しては、成長分を見込んだ数値となっています。たんぱく質が、いかに成長に欠かせない栄養素かがわかります。

たんぱく質は足りている?

 では、実際にたんぱく質は1日にどれくらいとれているのでしょう。日本人の1日あたりのたんぱく質平均摂取量を見てみると、下の表のようにすべての年齢で推奨量以上にはとれていることがわかります。ただし、「推奨量」とは、欠乏によって病気にならない最低限の目安であって、目標量ではないことを頭に入れておいていただきたいと思います。

たんぱく質の1日あたりの平均摂取量

年齢男性女性
1-6歳47.242.5
7-14歳74.368.1
15-19歳88.771.8
20-29歳80.161.1
30-39歳74.861.6
40-49歳79.265.9
50-59歳77.564.1
60-69歳80.670.2
70-79歳81.671.4
80歳以上71.861.8
令和元年 国民健康・栄養調査

夕食でたくさん食べていればよいは落とし穴

たんぱく質は推奨量以上にとれていますが、Food Library「良質なたんぱく質って?」にも書いたとおり、1日単位ではなく1食単位で考えていただきたいのです。その理由は、たんぱく質は一度に合成する量に上限があるため、そして体内に溜めておくことができないためです。

たんぱく質は、合成と分解を繰り返し、私たちの体をつくっています。一度に多くのたんぱく質をとっても合成には上限があるため、許容範囲を超えてしまうと、余分なたんぱく質は合成できずに、脂肪として蓄えられてしまったり、排泄されてしまいます。

「夕食でたくさんとっているから大丈夫!」という方や、「朝食を抜いている」方は要注意です!

夕食でたくさんとっていても、朝・昼の不足分は補えません。また、朝食を欠食すると体をつくる材料であるたんぱく質がないため、筋肉量の低下につながります。朝食・昼食・夕食ごとに、平均して十分な量のたんぱく質をとることが大切です。

各食事のたんぱく質摂取量

J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2015 ;70(1):57-62とCurr Opin Clin Nutr Metab Care. 2009;12(1):86-90をもとに作成

皆さんは、各食事で平均的にたんぱく質をとることができていますか? 上のグラフは各食事におけるたんぱく質摂取量の理想と現状を示したものです。大きなギャップがあることがわかります。現状は、夕食ではたんぱく質を多くとっていますが、朝食、昼食では足りていません。ぜひ、ご自身のたんぱく質摂取のあり方を振り返り、偏っている場合は3食平均的になるように見直してみてください。

1食のたんぱく質の目安は?

たんぱく質の推奨量は1日に18〜64歳で男性65g、女性50gです。毎食均等にとるには、1食あたり20gを目安にします。

肉や魚、大豆製品、卵、乳製品、穀類など、さまざまな食品にたんぱく質は含まれています。ただし、下の表でわかるように、1食で20gのたんぱく質をとることができる食品はなかなかありません。いろいろな食品を上手に組み合わせて、十分なたんぱく質量をとることが重要です。

朝食を準備することが難しい場合は、豆乳や牛乳、チーズやヨーグルト、納豆、豆腐など、手間をかけなくてもたんぱく質源を簡単にとれるものを少しずつ食べて、トータルで20gを目指すのが一つのポイントになります。

このように上手に組み合わせて取り入れることを考えると、料理の幅も広がり、いろいろな栄養素をとることができるようになります。

1食あたりのたんぱく質の量

 1食あたりの目安量(g)たんぱく質量(g)
白米茶碗1杯(150g)3.8
ロールパン1個(30g)3.0
食パン(6枚切)1枚(60g)5.3
ヨーグルト 全脂無糖100g3.6
普通牛乳200ml6.6
プロセスチーズ1個(25g)5.7
1個(65g)7.9
1切(80g)17.8
木綿豆腐1/3丁(100g)7.0
納豆1P (40g)6.6
ウインナーソーセージ1本(20g)2.4
日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参考に作成

<参考資料>

日本人の食事摂取基準2020年 たんぱく質

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf

令和元年 国民健康・栄養調査

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2015 ;70(1):57-62

Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2009;12(1):86-90

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師