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いちご 日本が誇る果物
2023.02.20 おすすめ記事

いちご 日本が誇る果物

いちごの表面にあるツブツブ、あれ種ではなく、ひとつひとつが果実です。いちご一粒は200〜300個の果実が集まった「集合果」です。私たちが果実だと思って食べている赤い部分は、茎の先端の花床(かしょう)が膨らんだ偽果(ぎか)といいます。

いちご本来の旬は初夏

ビニールハウスなどの施設を使わずに、屋外の畑で栽培されるいちごの収穫時期は4~6月頃です。冬の間は休眠状態だったいちごが春の気温上昇とともに目を覚まし、春から初夏にかけて花と実をつけていきます。こうした生態からすると、いちご本来の旬は春~初夏、俳句の世界でも「いちご」は夏の季語とされています。1960年代頃までは屋外で栽培されるいちごが主流だったため、いちごの旬は春~初夏という考えが一般的でした。その後、ハウス栽培などが普及し、いちごは11~12月頃から収穫できるようになりました。これもいちごの需要が爆発的に増えるクリスマスに合わせ、高品質のいちごを冬の時期から収穫するために考えられた技術が生まれたとか。
そんなこんなで現在のいちごの旬は冬~初夏といえるほど、長い期間いちごが食べられるようになりました。

いちごの流通ピークは2月から4月頃

スーパーの店頭でいちごを見かけるようになるのは、早いところで11月中下旬頃からです。クリスマスシーズンに入り12月には、ほとんどのスーパーの売り場にいちごが並ぶようになります。年明け1月頃から出荷量は増えはじめ、流通のピークは2~4月頃になります。地域によりますが、主要産地の出荷が終わる5月頃までは、スーパーでいちごを購入することができます。ところが、6月に入ると産地からの出荷がほとんど無くなり、一般のスーパーでの購入は困難になっていきます。その後は、国産いちごの流通は11月頃まで品薄状態が続き、アメリカ産をはじめとした輸入いちごが流通していきますが、こちらはケーキ屋等と業務用として使われるものが多く、一般のスーパーで見かける機会はほとんどありません。

主な生産地はやっぱり栃木県

北海道から九州まで、全国各地で栽培されているいちごの品種はなんと300種以上もあります。都道府県別収穫量のランキングでは、1位栃木県シェア14.8%、2位福岡県シェア10.1%、3位熊本県シェア 7.3%、4位愛知県シェア 6.7%、5位長崎県シェア6.5%でした(※)。このTOP5で主に生産されている品種が特に市場で見かける事が多いでしょう。5大産地の主力品種は次の通りです。

主力いちご品種
 栃木県「とちおとめ」 
 福岡県「あまおう」
 熊本県「ゆうべに」
 愛知県「ゆめのか」
 長崎県「ゆめのか」

いちごに期待する栄養素

ビタミンC
いちごにはキウイと同じくらいのビタミンC量があり、みかんよりも約2倍も含んでいます。レモンに比べれば6割程度のビタミンC量になりますが、レモンよりもいちごの方が沢山食べられる事を考えると十分な摂取源ではないでしょうか。いちご一粒20gだとすると8粒程食べると1日に必要なビタミンCを摂取する事ができます。

葉酸
いちごは葉酸が多く含まれている食材です。葉酸は女性に必要な栄養素と言われ、特に妊娠を考える頃から積極的に摂取したい栄養素のひとつです。この時期に葉酸を摂取しておくと、胎児の体の育成を手助けし、先天性異常などのリスクを減らせる可能性があると研究報告が出ています。

アンチエイジングに効果的な抗酸化成分
いちごにはいくつかの抗酸化成分が含まれています。肌のコラーゲン減少を遅くしてシワ予防に効果があると言われるエラグ酸、天然抗生物質でもあり体内の毛細血管を強くするケルセチン、活性酸素の生成を抑制すると言われるアントシアニンなどが含まれます。これらの抗酸化成分の含有量は全食材の中でもトップクラスです。

いちごは冷凍しても栄養価はほとんど変わりません。旬の時期に買い込んで冷凍し、半解凍してシャーベットのように食べれば、栄養価も取れて美味しく召し上がれますよ。

※ 令和3年産野菜生産出荷統計(農林水産省)