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寒ぶり、冬の旬です
2023.01.09 おすすめ記事

寒ぶり、冬の旬です

ぶり -鰤ー

夏のぶりは腹の付近にうっすらとサシが入る程度で見た目もスラッとシャープな格好をしていることに対し、冬のぶりは背中までビッシリとサシが入り見た目は太っているのが特徴です。そして脂がのっているにも関わらず身は締まっています。これは、冬の長距離移動と春の産卵期に向けて活発にエサを食べるため、11月過ぎ頃には脂と栄養を体に蓄え、丸々と太った姿になるのです。

ぶりの旬は冬

エサを食べてエネルギーを蓄えたぶりは、11月下旬頃になると北海道から日本海を通って九州まで南下していきます。この間、主に日本海側で水揚げされた立派なぶりが「寒ぶり」です。
この脂のりの良い旬の味を味わえるのは、11月下旬〜2月初旬になります(近年の海水温の変動によって、旬にも変動はあります)。

天然ぶりの都道府県別漁獲量

2020年の天然ぶりの漁獲量は101,392t、都道府県別ランキングは1位北海道シェア15.1%、2位長崎県シェア12.2%、3位島根県シェア10.6%でした。(※)

出世魚のぶり

ぶりは成長度合いによって名前が変わる、出世魚です。出世魚と呼ばれる魚は、幼魚の頃から生魚になるまで、成長に伴い大きさはもちろんのこと味や脂の乗り方、身の質も変化していきます。それぞれ適した料理法も異なるため、流通するにあたり全てのサイズが同じ名前だと混乱を招いてしまうため、成長段階に合わせて呼び名があるそうです。

さて、ぶりの呼び名ですが、関東では”わかし⇒いなだ⇒わらさ⇒ぶり”と変わっていきます。ぶりは体長80cm以上のものを指します。関西では”もじゃこ⇒わかな⇒つばす⇒はまち⇒めじろ⇒ぶり”と呼び名の段階があり、他に北陸や瀬戸内海でもそれぞれの呼び名があるので、面白いですね。
そして、ぶりの中でも真冬に水揚げされ、脂をたっぷりため込んで丸々と太った天然ものを「寒ぶり」と呼んでいます。

ぶりの切り身、美味しいものの見極め方

 血合いが鮮やかな紅色
 切り口の角が切ったばかりのようにしっかりしているもの
 身と皮の間に半透明の白い脂の層があり皮が厚いもの
 身に霜降りのような白い“サシ”が入っているもの

ぶりの切り身を購入する時に、白い皮なら腹側で、緑色なら背側になります。腹側の方が脂がのっているので、好みに合わせて選んでみてください。

ぶりに期待する栄養成分

積極的に取りたいEPA
ぶりにはDHA、EPAなどの不飽和脂肪酸が多く、これは脳細胞の活性化や動脈硬化の予防に役立つといわれています。
大人が特に取りたいEPAには、血流を良くする働きがあり、血圧の上昇や血管のつまりを防ぐ効果に期待できます。そして、EPAにはアレルギーを促進する酵素を抑制する働きもあるといわれ、そのためEPAを摂取することでアトピーや花粉症などの症状を和らげる効果も期待できるのです。
EPAは体内で合成することが不可能なため、青魚やサプリメントから摂取する必要があります。積極的にEPAを摂取することは、健康維持につながるでしょう。

ビタミンDも豊富
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進してくれる成分です。カルシウムの吸収が促進されることで丈夫な骨を作り出したり、筋肉の発達にも作用します。食品からビタミンDを摂取しようとした場合には、きのこや魚類などの限られた食品からしか摂取することができないため、意識して摂取するよう心がけましょう。

※2020年「魚種別漁獲量」(農林水産省)

ライター 村田佳那子|管理栄養士