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日本人が一番食べる魚 -鮭-
2022.09.05 おすすめ記事

日本人が一番食べる魚 -鮭-

さけ -鮭-

近年では、日本人が一番食べる魚は鮭であると、家計調査からわかりました。
鮭は身が赤いので、赤身魚と思われがちですが、実は白身魚です。あの紅色の身は、白身魚特有の速筋で、エビやカニを餌にしているうちに赤くなっていきます。

鮭の旬は、一般的に秋から初冬にかけて。鮭は川で生まれて海へ下り、数年間は北の海で成長し、産卵期の秋に再び生まれた川を上り、一生を終える代表的な回遊魚です。産卵期を迎える秋頃、東北・北海道沿岸などで収穫される国産の鮭を「秋鮭」「秋味」などと呼びます。秋鮭の特徴は、産卵前のため身が引き締まっており、卵や白子を成長させるために体脂肪が使われているので、脂分が控えめです。ちなみに、5~7月頃に獲れる鮭もいて、そんな鮭は季節外れという意味で時鮭、時不知(トキシラズ)と呼ばれています。

国産で最も多く獲れるのは白鮭

白鮭
一般的に、日本で鮭といえば白鮭のことを指します。白鮭は、ほかの種類と比べて身の色が比較的薄いことからそう呼ばれています。「秋鮭」「時鮭」「鮭児」と呼ばれるものがあります。

紅鮭
紅鮭は主に北太平洋に生息し、日本では滅多に漁獲することができない鮭です。紅鮭の旬は6~8月頃、主にロシアやカナダから輸入されたものがスーパーマーケットなどに並んでいます。産卵期を迎えると身が真っ赤に色づくことから紅鮭と名付けられており、身の色の要因であるアスタキサンチンなどが他の種類に比べて豊富です。

銀鮭
銀鮭は成長が早いことから国内外で盛んに養殖されています。市場に出回るほとんどが養殖もので、輸入される銀鮭の大半がチリ産です。国内では、宮城県などの三陸沖や鳥取県などで養殖されているものが多いでしょう。銀鮭の本来の旬は8~10月頃だとされていますが、養殖しやすいこともありスーパーマーケットなどでは年間を通して販売されています。脂肪分が多いのが特徴で、身がふっくらとしていて味にコクがあることから、切り身だけではなく加工品としてもよく使われています。

他にも、キングサーモン、カラフトマス、サクラマス、ニジマスといった種類がいます。

旬の秋、ほぼ北海道産が出回る

鮭の主産地は北海道で、国産の鮭のほとんどがココで水揚げされています。北海道産の鮭の旬は8月下旬頃~12月まで、北海道は土地が広いため、太平洋側と日本海側では旬の時期が異なります。太平洋側では8月下旬から水揚げされはじめ11月頃まで、日本海側では太平洋側と比べて少し遅い水揚げがはじまり12月頃までが旬となります。また、日本海側に面する新潟県でも多くの鮭が水揚げされる。塩引き鮭が有名な新潟県村上市では、11月頃に旬を迎える。ほかにも、岩手県や青森県などでも鮭が水揚げされています。岩手県産の鮭の旬は9~1月とやや長く、青森県産の鮭の旬は10~11月頃。北海道産の鮭の旬を見ても分かるように、太平洋側の鮭は年明けごろまで水揚げされています。

2020年度のさけ類(しろざけ)の漁獲量は55,974t、1位北海道シェア92.5%、2位青森県シェア2.7%、3位岩手県シェア2.3%でした。全国の漁獲量は10年前と比較して約1/3と減少傾向にあります。

鮭に期待する栄養素「アスタキサンチン」

アスタキサンチン
抗酸化作用が非常に強いことで知られているアスタキサンチンは、色素成分のひとつで鮭の身の色が赤い要因です。アスタキサンチンは、肌を紫外線から守り健康を保つ効果があるだけでなく、整腸作用や眼精疲労の改善やストレス軽減などにも期待されています。

EPA
EPAは「エイコサペンタエン酸」の略で、体内では合成できない必須脂肪酸です。成人にはDHAよりEPAの方が必要な栄養素で、血液の流れをスムーズする効果に期待され、血栓を出来にくくしたり、血中脂肪のバランスを正常に保つ働きがあるといわれています。その結果、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の予防に繋がっていきます。

DHA
DHAは「ドコサヘキサエン酸」と呼ばれるEPA同様の必須脂肪酸です。DHAは、人の脳や神経系に多く存在していて、脳の発達が著しい胎児から子どもに必要な栄養素とされているので、妊婦や子どもが積極的に摂りたい栄養素です。DHAは、さばやいわしなどの青魚に豊富に含まれていますが、鮭も多く含む食材のひとつです。

ビタミン類
鮭には脂溶性ビタミンA、D、Eや水溶性ビタミンCやB群など様々な種類が含まれています。そのおかげでアスタキサンチンやEPAやDHAの働きをサポートすると考えられ、鮭が健康的な食材ともいわれる理由なのでしょう。

調理に合わせて切り身を選ぶ

切り身の鮭は、調理に合わせて選びましょう。
頭に近い弓形の腹骨がついたものは脂がのっているので、そのまま焼くなどシンプルな料理にオススメです。尾に近いかまぼこ形の方はさっぱりしている方なので、フライやムニエル、油を使った料理に合います。

脂のりをチェック
身に入った白い筋(サシ)が真っ白でハッキリしている、皮と身の間の薄茶色の部分に厚みがあるものは特に脂がのっています。

鮮やかな皮や身の色は鮮度よし
皮や身の色がハッキリして鮮やかなもの、身がしまっているもの、トレーを傾けて水気(ドリップ)がないものは新鮮です。鮮度が悪くなってくると赤みが薄れてくるため、鮮やかな赤色のものは、美味しい鮭の証です。

参照:農林水産省「海面漁業生産統計調査」(2020年)
   総務省「家計調査」(2019~2021年)