寒くなると気分が落ち込み、やる気が出ないといった症状に見舞われることはありませんか? もしかすると、それは「季節性感情障害」かもしれません。
ウインター・ブルーとは
「季節性感情障害」とは、特定の季節になるとみられるうつ病の一種で、主に秋から冬にかけて症状があらわれるため「ウインター・ブルー(冬季うつ)」と呼ばれます。ふつうは春ごろになると改善するという特徴があります。気分の落ち込みや不安、イライラする、倦怠感といった一般的なうつ病の症状のほかに、過食、過眠、体重増加など、季節性感情障害ならではの症状があります。過食では、特に炭水化物や甘いものを欲する傾向にあり、その結果、体重増加につながってしまいます。睡眠時間は長くなり、朝起きるのも辛く、日中も強い眠気を感じるようになります。
原因は日照時間 !?
ウインター・ブルーの原因は、日照時間に関係があると考えられています。冬は日照時間が短くなります。すると脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニンの分泌量が減ります。セロトニンは「幸せホルモン」の一種として知られ、精神の安定や感情、睡眠などに関係し、自律神経を整える働きがあります。したがってセロトニンの分泌が減ると、感情が上手にコントロールできなくなってしまい、うつ状態に陥りやすくなります。
食事でセロトニンの分泌を高めましょう!
セロトニンを増やすには、日光を積極的に浴びること、そして「食事」が大事です。
セロトニンは、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンから生合成されます。トリプトファンは体内で生成できないため、食事から摂る必要があります。このトリプトファンは、日中に脳内でセロトニンに変わり、夜はメラトニンに変わります。
メラトニンは、睡眠ホルモンといわれており、睡眠をサポートしてくれます。メラトニンが不足すると、睡眠が阻害されてしまい、不眠症や睡眠の質の低下を招きます。
トリプトファンを摂ることは、セロトニンの分泌を促し、ウインター・ブルーを予防し、良質な睡眠を促すことにつながります。 トリプトファンを多く含む食品として、大豆製品(豆腐、納豆、厚揚げ、豆乳、高野豆腐など)、穀類(白米や玄米など)、乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルトなど)、バナナ、ナッツ類、卵などが挙げられます。
トリプトファンからセロトニンをつくる際に必要な「ビタミンB6」も大切です。トリプトファンを多く含む食品と一緒に摂ることで、脳内で合成が促進されます。ビタミンB6を多く含む食品には、鮭、赤身魚、ささみ、バナナなどがあります。
寒い時季には体が温まる「鮭のクリーム煮」や「鮭入りクリームシチュー」などはいかが。バランスのよい食事に意識してプラスするといいでしょう。
セロトニンの分泌を高めるためには、日光を浴びることや食事以外に、適度な運動や規則正しい生活も大切です。日ごろの生活を見直し、ウインター・ブルーを予防しましょう。
【参考文献】
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜
「セロトニン」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-074
・睡眠の都市伝説を斬る
光は「いつ浴びるか」より「浴びた量」冬季うつのメカニズム
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20150107/430923/?P=3



