寒くなると温かい食べ物が恋しくなります。でも、実は冬の料理には塩分を多く含むものがたくさんあります。今回は、冬の塩分の摂り過ぎを防ぐポイントをお伝えします。
なぜ、冬は塩分の摂り過ぎになってしまうのか?
冬の温かい食べ物の定番ともいえる鍋ものやおでん、シチューなどの煮込み料理、ラーメンやうどんなどの麺類、味噌汁などには塩分が多く含まれています。また、汗のかき方が夏場よりも減るため、汗から塩分を排出する量が減ります。さらに、空気が乾燥するわりに水分の摂取量が少ないため、口の中が乾燥しやすくなります。すると、唾液が上手に出なくなってしまい、味覚感度が鈍くなるといわれています。そのため、いつもは普通に感じていた味も、なんだか「薄味だ」と思えて、味つけを濃くしたり味の濃いものを好むようになったりで塩分の摂り過ぎにつながってしまいます。
塩分の摂り過ぎが血圧を上げる仕組み
塩分の摂り過ぎが血圧を上げるメカニズムについて簡単におさらいしておきましょう。
人間の体は、塩分と水分を一定の濃度に保っています。塩分を摂り過ぎてしまうと、塩分濃度を保つため、体は水分を増やして溜め込み、一定に保とうとします。
体内の水分には血液も含まれるので、塩分を摂り過ぎてしまうと血液の量も増えます。心臓は日々、血液を全身に循環させていますが、血液量が増えてしまうと、一度に多くの血液を送り出そうとするため、血管壁を押す力が強くなり、血圧が上がります。この血管が張り詰めた状態が長く続くと、次第に血管壁は厚く硬くなり、しなやかさを失って脆くなってしまいます。これが動脈硬化です。進行すると脳卒中や心疾患などを引き起こしやすくなるので注意が必要です。
塩分を控えるポイント
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食塩摂取量の1日あたりの目標量は成人男性7.5g未満、女性6.5g未満です。さらに、日本高血圧学会では、高血圧治療をしている人は1日6.0g未満にすることが勧められています。ところが、令和5年「国民健康・栄養調査」によると、1日の食塩摂取量の平均値は9.8g(男性10.7g、女性9.1g)と摂り過ぎという結果が出ています。
・麺類の汁は飲み干さない
ラーメン1杯には約6〜7g、うどん1杯には約5〜6gの塩分が含まれています。これをすべて食べ、汁まで飲み干してしまうと、1日あたりの食塩摂取量の目標値に近くなってしまいます。たとえ汁が美味しくとも飲み干さずに残すこと。半分飲み残すと、塩分を約2〜3g減らすことができます。
・汁物の回数は1日1回程度に
味噌汁やスープ1杯には約1.5gの塩分が含まれています。1日に3回飲んでしまうと、ほかに摂取できる塩分はかなり制限されてしまうことがわかります。例えば、味噌汁は1日1回にしたり、余分な塩分を排出してくれるカリウムの多い野菜をたっぷり入れたりするなどの工夫をしてみてください。
・練り製品や魚卵には気をつける
明太子やたらこ・数の子といった魚卵類やかまぼこ・ちくわなどの練り製品は、加工する際に塩分を多く使っています。食べる回数を減らすとか、もともと塩味がついているものなので醤油などをつけずに食べるなどを心がけてください。
・調味料の工夫
お寿司やお刺身を食べるときのお醤油使いはどうしていますか? 醤油は上からかけるよりつけるほうが少ない量で済むため、塩分を控えることができます。一方、天ぷらを塩で食べるときは、つけるよりかけるほうが減塩につながります。
香辛料や香味野菜、果物の酸味を利用することで、減塩してもおいしく食べられます。このように調味料の使い方でも塩分をコントロールすることができるので、意識して工夫してみてください。
冬の血圧コントロール対策として塩分の摂り過ぎとともに注意したいのが、温度差によるヒートショックです。次回は、冬場に多発するヒートショック対策についてお話しします。
【参考文献】
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜
健康イベント&コンテンツ 「血圧」
https://kennet.mhlw.go.jp/slp/event/disease/pressure/index
・日本人の食事摂取基準2025版「ミネラル」



