たくさん汗をかく季節には、こまめな水分補給が欠かせません。大量に汗をかくと脱水状態になり、脳梗塞が起こりやすくなるのでなおさらです。水分補給は脳梗塞の発症を予防する鍵になります。
脳梗塞とは
脳の血管が詰まったり、破れたりすることで脳の働きが阻害される病気の総称を「脳卒中」といいます。脳卒中の過半数を占めている「脳梗塞」は、脳の血管が詰まり、脳細胞に血液が十分に行き渡らなくなった状態のことをいいます。高血圧などが原因で脳内の細い血管が破れて出血するのが「脳出血」、脳の太い血管にできた瘤(脳動脈瘤)が破裂してくも膜という部分の下に出血が広がるのが「くも膜下出血」です。
脳卒中は、かつては日本人の死因第1位を占めていました。近年は死亡率が減少しているものの、死亡総数に占める割合は6.9%で死因の第4位です。死亡率は10万人あたり、脳梗塞48.6人、脳出血27.4人、くも膜下出血9.4人、その他の脳血管疾患2.6人。脳梗塞の死亡率は、なおも高い水準で推移しています。
脳梗塞の原因
脳梗塞は、血管の詰まり方によって「心原性脳塞栓症」「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」と「その他の脳梗塞」に分類されますが、心房細動や高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙が主な原因です。
脳梗塞は冬に多いと思われていますが、実は、6~8月に多く発症するという国立循環器病研究センターからの発表もあります(その後、どの季節にも一定の割合で発症すると最新データを発表)。
夏に起こりやすいのは、「脱水」によるからです。大量の汗をかいた分、水分補給をしないでいると脱水状態になりますが、すると血流が悪くなり、血液がドロドロになって血栓ができ、脳梗塞を引き起こしやすくなります。
私たちは寝ている間も、コップ約1杯程度の汗をかくといわれています。一般的に夜は血圧が下がるので血流が悪くなりますが、そこに脱水が加わると血管が詰まりやすくなる危険性が高まります。
脱水を起こさないために…
大量に汗をかく夏は特に、気がつかないうちに体の水分は失われています。運動や外出時、入浴前後、睡眠時などは水分が失われるタイミング。水分補給は、喉の渇きを感じてからでは遅いといわれます。
飲酒は水分補給にはなりません。夏はビールなど冷たいアルコールが美味しくなりますが、お酒には利尿作用があるため脱水を招きます。その状態で寝てしまうと、より脳梗塞を発症しやすくなってしまうのです。
甘い飲み物の飲み過ぎにも要注意です。脳梗塞は、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満症などが引き金となって発症します。甘い飲み物の飲み過ぎで「肥満症」になるのは避けたいものです。
こまめな水分補給にプラスして、3食しっかり食事をすることも大切です。食品中に含まれる水分量も水分補給になるからです。したがって1食でも欠けてしまうと、栄養不足だけでなく、水分も不足してしまうことになります。
暑い夏を健康的に乗り切るためには水分補給は欠かせませんね!
【参考文献】
・厚生労働省 令和4年(2022)人口動態統計
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei22/
・厚生労働省「みんなで知ろう!からだのこと」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html
・国立循環器病研究センター 「夏の脳梗塞を防ぐために」「脳梗塞は冬の病気? 夏の病気?」