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活性酸素から体を守るために
2024.01.09 おすすめ記事

活性酸素から体を守るために

活性酸素とは何か、ご存じですか? 活性酸素は生命維持に必要なものではあるのですが、過剰に増えると体を酸化させ、細胞や血管を傷つけ、老化が進むなど悪影響を及ぼします。活性酸素から体を守るための抗酸化食生活、そのポイントとなる栄養素についてお話しします。

活性酸素とは

 呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化され、著しく反応性が増した酸素のことを活性酸素といいます。哺乳類は、酸素を利用してエネルギーをつくり出していますが、取り込んだ酸素の数%が活性酸素に変化すると考えられています。

活性酸素は、体内の免疫機能や感染防御など重要な役割を担っていますが、過剰になると、老化、がん、生活習慣病、シミ、シワ、免疫力の低下の原因となります。過剰になる原因として、加齢も関係しますが、ストレス、タバコ、激しい運動、多量飲酒、紫外線などが挙げられます。

健康維持のためには、体を錆びつかせない・酸化させないことが大切で、体内で増えた活性酸素を除去する必要があります。

抗酸化作用とは

活性酸素の発生やその働きを抑えたり、活性酸素そのものを取り除く物質のことを抗酸化物質といい、抗酸化作用はその力のことをいいます。私たちの体には「抗酸化防御機構」が備わっています。その働きのおかげで、活性酸素の産生を抑えたり、増えることで生じたダメージの修復・再生を促してくれます。

抗酸化防御機構は、体内でつくられる抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなど)と食べ物などから摂取する抗酸化ビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質によって成り立っています。

活性酸素の産生と抗酸化防御機構のバランスが崩れ、活性酸素が過剰に増えてしまった状態を「酸化ストレス」といいます。酸化ストレスを防止するには、食事、適度な運動、休養が大切です。

抗酸化ビタミン

 食べ物から摂取できる抗酸化作用をもつ物質に「抗酸化ビタミン」があります。主にビタミンA、E、Cです。

・ビタミンA

 ビタミンAは、水に溶けにくく、油に溶けやすい脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂ると吸収力がアップします。レバー、うなぎ、卵黄などの動物性食品に主に多く含まれています。

動物の体内でビタミンAに変換するプロビタミンAのβ-カロテンは、緑黄色野菜に多く含まれ、特に抗酸化力が強いといわれます。皮膚や粘膜、目の機能などを正常に保つ働きがあり、不足すると、肌のかさつきや夜盲症などを引き起こします。

・ビタミンE

 ビタミンAと同じく脂溶性ビタミンです。抗酸化作用が強く、細胞膜や脂肪に豊富にあり、体内の脂質の酸化を防ぐことや細胞膜の健康を維持しています。アーモンド、いくら、モロヘイヤ、かぼちゃなどに含まれています。ビタミンA、Cと一緒に摂ることで、相乗効果が期待できます。

・ビタミンC

 水に溶けやすい水溶性ビタミンです。水溶性のため一度に多く摂っても尿として排泄されてしまいます。体内では合成されないため、毎日摂ることが大切です。ピーマン、ブロッコリーなどの野菜やいも類、かんきつ類や柿などの果物に多く含まれます。

抗酸化作用が強く、活性酸素の働きを抑制する以外に、鉄と一緒に摂ることで、鉄の吸収をよくしたり、皮膚や腱などをつくる「コラーゲン」の合成に欠かせません。喫煙者はビタミンCの必要量が高まるといわれているので、積極的に摂るようにします。

抗酸化ビタミン以外に

・ポリフェノール

ポリフェノールは植物が光合成を行うときにできる物質の総称です。ほとんどの植物に含まれている色味や苦味の成分で、自然界に5000~8000種類以上もあるといわれています。抗酸化作用が強く、活性酸素を無害な物質に変える作用があり、体を守る強い味方です。

代表的なポリフェノールとして、お茶の苦渋味成分である「カテキン」、ブルーベリーやワインなどに含まれる「アントシアニン」、大豆に含まれる「イソフラボン」「サポニン」、そばに含まれる「ルチン」などがあります。

・カロテノイド

動植物に広く存在する黄色や赤い色の色素成分です。水に溶けにくく、油に溶けやすい性質があります。緑黄色野菜や柿、マンゴー、あんず、柑橘類などの果物、海藻、甲殻類、卵黄などに多く含まれています。抗酸化作用以外に、動脈硬化や老化の予防、がんの発生に対しても効果があると考えられています。

活性酸素から体を守るには、バランスのよい食事と抗酸化物質の摂取、適度な運動と良い睡眠(質・量・環境)を心がけ、ストレスを溜め込まないことが重要です。

【参考文献・資料】

・e-ヘルスネット「抗酸化物質」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html

・e-ヘルスネット「活性酸素と酸化ストレス」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html?_ga=2.215929751.1490933347.1702295677-933725125.1700895156

・e-ヘルスネット「カロテノイド」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html

・公益財団法人 長寿科学新興財団 健康長寿ネット

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/polyphenol.html?_ga=2.217452694.1490933347.1702295677-933725125.1700895156

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師