健康診断を受けることで、自身の体の状態を知ることができ、大きな病気の予防につながります。いろいろな検査項目がありますが、血液検査の中には生活習慣に直結しているものが多く、例えば「尿酸値」が高いと「痛風発作」を起こす可能性が高まります。この数値が高い状態を「高尿酸血症」といいます。
高尿酸血症とは
体の新陳代謝の過程で発生する老廃物である尿酸が血液中に増え過ぎた状態のことをいい、7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。この数値が高いだけでは自覚症状はありませんが、尿酸が結晶化して関節や足先、耳たぶなどに溜まり、その場所が炎症を起こすと激しい痛みが生じます。これが「痛風発作」です。
尿酸が結晶化したものが腎臓に溜まると、背中に痛みが生じ、尿管や膀胱に移行し、その部分が炎症を起こすと激痛が生じます。尿管の場合は尿管結石、膀胱の場合は膀胱結石といい、これらを総称して「尿路結石」といいます。
高尿酸血症は、痛風発作を引き起こすだけでなく、高血圧や脳血管疾患、心疾患、慢性腎不全などのリスクを高めるといわれており、放っておくと大きな病気を招く可能性を秘めています。
女性より男性に圧倒的に多いという特徴がありますが、それは、女性の場合、ホルモンの影響により尿酸値がコントロールされているためです。ただし、閉経後はこの女性ホルモンの分泌が低下するため、やや増加する傾向にあり、注意が必要です
高尿酸血症の原因
尿酸は、1日に約700mg体内で産生され、尿や便として体外に排泄されるのも約700mgで、常に一定量の尿酸(健康成人男性で約1200mg)が体内に蓄積されています。この産生と排泄のバランスが崩れ、尿酸が血液に溶けきれなくなると尿酸値が高くなります。
尿酸が増える原因は、尿酸が体内で多く産生されることと、排泄が悪いこと。それには、食べ過ぎ、飲み過ぎ、肥満、ストレス、体質などが関係していますが、ほかに、水分不足や激しい運動、腎機能の低下などもあげられます。
予防するには・・・
尿酸はプリン体という物質が体内で分解されてできます。したがって、尿酸値を上げないようにするためには、プリン体の多いものを控える必要があります。プリン体の多いものとして、白子類、レバー類、干物などがあげられますが、実は肉や魚にも中等度含まれています。
予防するポイントとしては、バランスのよい食事を心がけて、五大栄養素や食物繊維をしっかり摂ることです。野菜や豆類、海藻類は意識して摂るようにしないと不足しがちです。
また、肥満の方は高尿酸血症になると尿酸値が上がりやすくなります。暴飲暴食は控え、適正体重を目指しましょう。
尿酸を体外に排泄するために、水分摂取を心がけること。砂糖や果糖の多い飲み物ではなく、水かお茶を。アルコールは尿酸を作る量を増やしてしまう上、肥満の原因にもなるので、飲み過ぎはNGです。
ストレスも溜め込まないように心がけ、適度な運動も忘れずに。適度な運動は生活習慣病予防や肥満予防にもつながりますが、激しい運動は尿酸値を上げてしまうため、要注意です。
以上のことを意識して、日ごろの生活を振り返り、尿酸値が上がらないようにすることが大切です。
【参考文献】
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-007
・日本生活習慣病予防協会