前回は夏バテについてお話ししました。今回も夏の体調管理についてですが、夏風邪を取り上げます。夏風邪は長引くといわれますので、その予防法をお伝えします。
夏風邪とは
夏風邪とは、夏場に活発化するウイルスによって引き起こされる風邪症状の総称です。冬の風邪は乾燥を好むウイルスによるものですが、夏の風邪は高温多湿を好むウイルスによるもの。夏風邪の代表的なウイルスとして、アデノウイルスやエンテロウイルス、コクサッキーウイルスが挙げられます。
夏風邪の症状
夏風邪の症状は、発熱や喉の痛み、頭痛、腹痛、下痢などが主で、ウイルスによっては、口の中や喉の入り口付近、手足の発疹が見られます。こうした夏風邪症状に夏の暑さによる体調不良が加わるため、長引いてしまい、辛い状況が続くことになりがちです。
夏風邪予防のために意識して摂りたい栄養素
ウイルスが原因の夏風邪ですが、免疫力の低下も大きな要因です。夏の暑さで体力を消耗してしまうことや室内外の温度差による自律神経の乱れからくる体調不良、熱帯夜による睡眠不足や食欲低下、発汗による脱水傾向などにより免疫力が低下しがちです。そのため、ウイルスが体内に入ると、一気に増殖してしまいます。
予防には、この免疫力対策が必要になります。まず、生活リズムを整え、栄養バランスのよい食事、適度な運動、十分な休養をとることが大切です。
特に意識して摂りたい栄養素とそれを多く含む食品をいくつかご紹介します。
【意識して摂りたい栄養素】
・ビタミンD:免疫機能の調整
鮭、かつお、いわし、卵黄、きのこ類 など
・ビタミンC:抗酸化作用、免疫力の強化
パプリカ、ブロッコリー、レモン、いちご、キウイ、さつまいも、じゃがいも など
・ビタミンB群:エネルギー代謝、疲労回復、粘膜の健康
豚肉、大豆製品、玄米 など
・亜鉛:免疫細胞の活性化
牡蠣、豚レバー、牛肉赤身、小麦胚芽、カシューナッツ、卵 など
このような栄養素を、バランスのよい食事にプラスして意識的に摂るようにします。ただし、そればかりを偏って摂ってしまうと逆効果になることもあるので要注意です。
腸内環境を整えることも大切です。腸内環境を整えることは、免疫力を高めることにつながります。ヨーグルトや味噌などの発酵食品や玄米・海藻・きのこなど食物繊維の多い食品を意識して摂るといいでしょう。なかでも、発酵食品のキムチは腸内環境を整え、食欲増進を助けてくれるため、食欲が落ちる夏場にはおすすめです。例えば、ビタミンB群を多く含む豚肉と組み合わせて豚キムチにしてはいかがでしょう。
こまめに水分補給をすることや、冷え過ぎ対策として常に羽織るものを持参し、温度差を大きくし過ぎないように調節することも大切です。さらに、十分な睡眠と適度な運動を心がけましょう。また、夏場はシャワーで済ませがちですが、しっかり湯船に浸かることで疲労や緊張がほぐれ、寝つきもよくなります。体を温めることは免疫力を高めることにもなります。
ちょっとした対策で、夏風邪を予防することができます。夏場は体調不良になりやすい要因がたくさん。ぜひ免疫力を高める生活習慣を心がけて、夏風邪を予防しましょう。